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N6544BT-13
iosjof
13.優しくていい人

 オボロ・サミダレにとってこの世界は玩具のようなものだった。

 魔族と体質が近い狐の獣人として生まれ、幼少期から強い魔力を有していたおかげで、いつもちやほやされていた。それと同時に過剰な期待も寄せられていた。
 将来はノルン国を支えるため、城に仕える者となれと両親からも親戚からも口癖のように言われた。刷り込み、一種の洗脳のようだったなと、あの頃を振り返りながら思う。

 オボロがこの世に生を受けたのは二十年前。魔王と勇者との戦いが終わりを告げた頃だった。訪れた平和な時代に皆が酔いしれていた。そんな中で生まれた天才少年は一族の希望とされていた。

 オボロは物心付く時には周りを冷たい目で眺めていた。
 心からオボロの出世を願っている者などいなかった。全員、オボロを高い地位の人間に仕立て上げ、そのおこぼれをもらおうとしているのが分かった。強い魔力を持たない、頭もさほど良くない血で繋がった集団の中で生まれた優秀な存在。オボロがそう自覚するのに時間は多く必要としなかった。

(可哀想な連中だ。僕に縋り付いて生きようとするなんて)

 両親に可愛がってもらった記憶はほとんどない。周囲の同じ年頃の子供達が遊ぶ中、オボロだけは魔術の使い方や役人になるための勉強をひたすら続けていた。時間の無駄だと言って友達を作る事さえ許されなかった。
 そんな苦痛とも言える少年時代、オボロは思考を変換してしまう事で何とか心が壊れてしまわないように守レディース 靴
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り抜いた。自分は彼らの糧になるために生きているのではないと。哀れで愚かで救いようのない彼らを将来『家畜』とするために今こうして下準備をしているのだと。
 自身を優秀な存在と常に思い、周りを見下して生きるようにしてみれば、後は楽だった。役所に就職して役立たずの連中から仕事を次々と掠め取って功績を残していく内に、一ヶ月ではあるがユグドラシルへ赴いて城での仕事に携わる事も出来た。帰る際には大臣から「近い内にウルドから城への異動を正式に決めよう」と言われた。オボロの将来は決まったようなものだった。

 安泰の未来と自分に盲目な両親と親族。女も向こうから勝手に媚びを売ってくるので困らない。その内、まあまあ頭の良い女と結婚して子供を産ませればいいのだ。

 今まで通り他人を蔑んで上を目指していれば、数年もすれば何不自由ない生活が待っている。その余裕は次第に飽きへ変わって行った。既に未来は確定している。だが、そこに辿り着く前に遊んでみたいと思った。刺激的な体験してみたいと思った。

(ヘリオドールも凄い新人を連れてきたよねぇ)

 あのウトガルドからの人間な上、色々と規定外の能力の持ち主。それだけでも十分興味を惹かれたというのに、あの暗黒竜を一人で倒した話をこっそり聞いた時、オボロは興奮を覚えた。新たな魔王が復活したという件については流石に動揺したが、それよりもニーズヘッグを打ち破った者がこの職場にいる事実の方がオボロに大きな衝撃を与えた。

 会いたい。是非会って色々な事を聞き出したい。
 何故異世界に来ようと思ったのか。
 どんな能力を持っているのか。
 どうやってニーズヘッグを倒したのか。
 二十年前の『勇者』について何か知っているか。
 そのためにもまずはどうにかして彼に近付かなければならない。他人は自分より上の人間か下の人間かの二種類しかいないと思っていたオボロにとって、彼は初めて見る未知数の人間だった。








「Aさん、Bさん、Cさんは書類の日付を見て日ごとに分けてください。DさんEさんはオボロさんと僕が記入を終えた紙のこの辺りにハンコを押してください。Fさん、Gさんは記入漏れがないか最終チェックを。お願いします」

 そして、オボロは現在この状況に混乱しきっていた。ヘリオドールを言いくるめて二人きりで新人と課長の後始末をする事になったのはいい。いいのだが。

「では始めましょう」

 自分達以外誰もいない、長机と椅子だけがある室内に谺する総司の声。その直後、机の上の大量の紙が強風に煽られて宙に浮かぶ。魔力をさほど持たない人間から見れば何事かという光景。平然と書類の処理を始めた総司とは対照的に、オボロは呆然と頭上を見上げていた。

 風を司る精霊シルフ。背中から小さな羽を生やした小さな少女達が総司の指示を受けて紙を仕分けしていた。彼女らがA、B、Cらしい。机の上には自分の体と同じ大きさのハンコを持ったシルフが二体、眼鏡を掛けて出来上がりの書類を待つシルフが二体いた。

(精霊に仕事を手伝わせるなんて聞いた事がないんだけど、何なんだよこいつ……)

 魔力を全く持っていないのに精霊と会話が出来るのは事前に知っていたものの、彼らをこんな風に使う人物とは聞いていない。精霊を服従出来るなら、もっとマシな活用法があるはずだ。風は敵を吹き飛ばしたり鎌鼬で切り刻めるし、攻撃を弾き飛ばせる。シルフはその風を自在に操れる力を持つ。地味な作業を手伝わせるのははっきり言って無駄だ。無駄遣いだ。

「オボロさん? さっきからボーッとしてますけど、どうかしましたか?」
「え、ああ。凄いと思ったんだよ。シルフが人間にこんな形で手を貸す所なんて初めて見たからね」
「僕を手伝いに任命してくれるのは嬉しかったんですけど、まだ新人の僕では作業が遅くてオボロさんの足を引っ張ると思ったんです。それでどうしようかとシルフさん達に相談したら手伝ってくれる事になりました」
「そうなんだ……」

 精霊に相談なんて軽く言っているが、この少年は魔術師なら誰もが憧れる事をやっていると自覚がないのだろう。自身がどんなに貴重な存在であるかさえ気付いていない。

(……僕とは反対だ)

 周りとの平凡な人間達とは違う。自分は非凡で優れていると。過度の期待から心を守るため、そう思い続けて過ごしてきたオボロには考えられない思考の持ち主だった。
 呑気な奴め。シルフの助けもあっていつも以上にスムーズに進む作業の合間に内心で悪態をつくと直後、総司はオボロの名前をまた呼んだ。

「オボロさん、そういえば」
「何?」
「僕のせいでヘリオドールさんに喧嘩を売るのはやめてくれませんか? ヘリオドールさんが可哀想です」
「……君、話聞いていたの?」
「?」

 総司が首を傾げる。ヘリオドールとの会話を聞かれたかと思ったが、そうでもないらしい。オボロは実際には口には出していなくても、呑気だと馬鹿にした事を密かに詫びた。
 見掛けによらず、意外と鋭い。となれば、警戒心を解くために浮かべていた優しい表情も柔らかな声もあまり意味は持たない。オボロはくく、と込み上げてきた笑いを喉の奥で潰した。

「なあんだ。最初から気付いていたなら、僕と彼女の攻撃を受け止めた後に指摘してくれれば良かったのに」
「あそこにはヘリオドールさんだけじゃなくて、他の方々がたくさんいたから喋られない方が思ったんです」
「鋭い上に思慮深いときたか。大丈夫だよ、心配しなくてもニーズヘッグや魔王の件をあそこで堂々と話すつもりはなかったよ」
「え?」

 総司がペンの動きをピタリと止めた。ここに来て初めて見せる彼が驚いたような声を出した事に、オボロはニヤァと笑みを浮かべる。

「びっくりしたでしょ? 僕が森の件を知っていたなん……」
「どうしてそこでニーズヘッグさんが出てくるんですか?」
「え?」

 今度はオボロが首を傾げる番だった。

「僕はオボロさんがヘリオドールさんに片思いをしている事を他の人に知られるのはあまり良くないんじゃないかと思って……」
「ちょっと待ってストップ! ストップ!!」

 ここでオボロは気付いた。総司と話が噛み合っているように見えて、実はずれまくっていたのだと。

「安心してください。誰にも話してません」
「話さなくていいよ事実無根なんだから!」
「え……オボロさんはずっとヘリオドールさんが好きで、なのに僕がヘリオドールさんといるようになったからヤキモチを焼いて喧嘩を売ってきたのでは?」
「どうして? どうして君はそんな結論に辿り着いたの!?」

 計り知れない想像力にオボロは恐怖さえ覚えた。ヘリオドールに恋愛感情を覚えた事など一度もない。向こうも同じだろう。何故、あの状況を見て片思いをしていると思われたのか理解出来ない。

 そして、更に総司は爆弾発言を投下していく。

「オボロさんは恥ずかしがり屋で、だからヘリオドールさんにも素直になれないんだなと思ったんです」
「恥ずかしがり屋ぁ!?」
「課長に散々怒っていたくせに結局は許して書類もやると決めたじゃないですか。普通の人だったらもっと文句を言ってから仕事も受け取りません」
「いや、それは」
「オボロさんは本当はとっても優しくていい人です。だから、もっと素直になりましょう。そうすればヘリオドールさんもきっとあなたの優しさに気付くはずです」
「………………」

 オボロに否定する気力は残されていなかった。この少年は鋭くも何でもない。ただの才能を無駄遣いする想像力に長けた馬鹿だった。

(本当に何だよ、こいつ……)

 天才、優秀、捻くれ者、腹黒とはよく呼ばわれているが、優しくていい人間呼ばわりされたのは初めてだった。それも真っ直ぐに見詰められながら。
 どう言い返せばいいかオボロには分からなかった。

N2229BM-23
iosjof
壊滅

 蟻の巣殲滅作戦は成功を迎えた、と思った。

 誰もが。

 上空からスコールのような、局所的なものなのか、まるで上空から神様が大瓶(おおかめ)をひっくり返したかのような水滴が各車両を塗らした。

 瞬間、

『よしゃー、アッ、アァァァァ――』
『呑むぞャァァ、イギャァァァアアァァ!!』
『なんだ、うわ、痛てぇ! 溶けるぅッ! カラダギャ、ドゲブルゥゥゥ』

 街に帰り、街を救った英雄の一人として賞賛を受ける。ギルドの金で酒を飲み、ハメを外して馬鹿騒ぎ。くだらない日常にある、数少ない特異点。大型狩り。開拓者という仕事において一生に一度あるかないかという栄えある一日を過ごすはずであった討伐隊の隊員達。

 その約半数が、この瞬間に消え失せた。

「はぁ……」
『マスター! 上!!』
 タクムはゆっくりと視界を上げた。

 地球では有burberry black label
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り得ないほど巨大な太陽。その中に小さな黒点が見えた。黒点は徐々にその大きさを増し、日の光を食いつぶしていく。

 黒点が雲を突き破って堕ちてくる。

 その眼に映ったのは、巨大な――体長20メートルはあろうかという、金色の蟲であった。

-------------------------------------
ジャイアントスローター
体長20メートルほどの巨体を誇る、蟻型生体兵器の最上位種。
金色の外殻は軽量ながら戦車級の強度を誇り、その巨躯に見合った高い生命力を持ち、飛行能力をも兼ね備えている。

何より脅威なのが50リットル近い蟻酸砲弾を秒間30発もの速度で撒き散らすことである。この生体兵器の迫撃を受けると辺り一面が酸の海となり、直撃しなくとも付近にいるだけで足元を壊され、移動能力を著しく削られることになる。

数ある最上位種の中でも最も多くの街を壊滅させてきた最悪の生体兵器であり、対空火力に乏しかった半世紀ほど前まではほとんど打つ手がなく、彼の生体兵器を確認した場合、拠点を放棄して逃げ去るより他になかった。

滞空火力の整った現在であってもその強固なボディと滞空能力、広域戦闘能力は脅威の一言であり、甲種開拓者団が5組はいなければ対処出来ないと言われている。

また最上位種でもあるため下位種にあたるアントゴーレムの生産(プラント)能力を持つため、一度討伐に失敗すると、捜索の間に戦力を整えられてしまうという厄介な性質も併せ持つ。

その生命力と範囲攻撃、生産能力から<空中要塞>や<爆撃機>、<殲滅女王>と呼ばれて恐れられている存在。

脅威度:A
生命力:A+
近/中/遠攻撃力:D/A+/A+
装甲:A
俊敏性:B-
生産力:20体/day
-------------------------------------

 それはまるで女王。六つの羽を瞬かせながら滞空し、地べたに這いずる人間を六つの真っ赤な複眼で睥睨し、六つの節足を目一杯に広げる。

『マスター! 中へ!!』
 ハッチを閉じるよりも早く、シーサペントが発進する。生き残った車両も一斉に走り出す。

 ドンドンドン、とその背後を巨大な蟻酸砲弾が襲う。全車辛うじて直撃は避けたものの、この生体砲弾の恐ろしさはこの先にある。
 蟻酸砲弾は荒野に着弾すると、大量の飛沫を飛ばしてくるのだ。一発50リットルともなればその量たるや半端なものではない。着弾地点を中心に半径30メートル圏内に酸性の霧が生まれるのだ。

 薄い霧は空気と混じり、吸気という形でエンジン内部に取り込まれるのだ。内部にまで耐酸処理を施している車両は少ない。それこそ金に飽かせたフルチューンを行える上位開拓者だけである。

 たちまち三輌が煙を上げ、その場で各坐する。

 また地面に出来た蟻酸の水溜りに突っ込んでしまい、履帯(キャタピラ)を溶かされてしまう車両も続出した。

 タクムはたまたま蟻を専門として狩っていたおかげで、素材だけは豊富に持っていた。通常の鋼鉄よりも強度が高く、僅かに軽量な蟻合金を、戦車の全面改修時に使用したので助かっていた。

 しかし、四つ足の先についたローラタイヤは溶かされてしまい、用を為さない。登攀時などに使う、脚部での直接歩行を余儀なくされる。移動能力は半減。時速40キロも出せないであろう。

『助けてくれ、セリエ・アール!』
『撤退指示を!!』
 無事であった車両から救援要請と戦闘指示の依頼が飛ぶ。

 しかし、オープン回線から返答はない。

 誰もが油断していた。こんな人里近くで最上位種の巣が見つかるなど、あの優秀なアイでさえ想像の埒外にあった。

『まさか……』
『死んでる……のか……?』

 隊長機、副長機共にジャイアントスローターの襲撃時、多くの者がそうしていたように、砲塔のハッチを開いて快哉を上げていたらしい。一瞬の油断。それにより<セリエ・アール>、そして副長機である<ヴァレンチノ>が同時に倒れた。今後、戦闘指揮が飛ぶことはない。

『……ひぃッ、こ、殺される!!』
『逃げろ! ば、ばばけもんに殺されるぞ!!』

 それがトリガーとなった。

 甲種開拓者にしてかつては最前線の策源地で活動していたこともあるという<セリエ・アール>、デル・ピエロッペンの死――信頼していた隊長の死に、開拓者達は恐慌を来たした。

『に、逃げるぞ!』
『全員でバラバラの方向に動くんだ!!』

 動ける車両は全て回頭し、女王蟻に背を向けて逃走を始めた。

『誰か、助けてくれ! 動かないんだ、下は水溜りで身動きが取れない!』
『うるせえ! 動けない野郎は足止めしてろ!』
『待ってくれよ、死にたくねえ! 死にたくねえよぉぉぉぉ!!』

 タクムとアイはオープン回線を閉じた。これ以上の通信は無意味だった。この混沌とした状況で連携など望むべくもないし、彼らは恐怖と混乱を意味もなく周囲にばら撒くだけで何の益もない。士気が下がるだけだった。

「アイ、どうする……」
『うん、ボク達も逃げよう。……足止めされた人達には悪いけど、犠牲になってもらうしかない』
 シーサペントは折りたたまれた脚部を広げ、歩行機動に入った。歩行機動とは4つある足の前後脚部を片方ずつ動かして進む機動方式だ。赤ちゃんのハイハイというよりは軍隊における匍匐前進に近い動き方である。あるいはクモやゴキブリがシャカシャカと足を動かして走るようなイメージ。

 動力を使ってローラを回すだけの通常走行とは鈍重ではあるが、その分、傾斜のある場所や、沼地など通常車両では入り込めない不整地での移動に適している。

 タクム達はこれまで狙撃ポイントに決めた高台に上る時くらいにしか使ったことがないが、その場に留まって無駄な抵抗を続けるよりはずっとマシである。脚部のローラタイヤがすべて溶かされてしまったのだから文句なんて言いようもない。

 蟻酸砲弾から逃れた車両軍が退却するのに混じってシーサペントも動き出した。


N5011BC-16
iosjof
第9話 嘘と真実(前編)

 




 1

  |仰々《ぎようぎよう》しい造りだのう。

 とバルドは思った。
 ここは、ドルバ領の中心にある、コエンデラ家の本城である。
 どうしてもカルドス・コエンデラと面談したかったので、初めてこの城の中に入った。

 バルドは一人である。
 〈腐肉あさり〉ジュルチャガは、しばらく前に突然姿を消した。
 あいさつぐらいしていってもよさそうなものだが、ジュルチャガらしいといえばジュルチャガらしい。

 意外にも、バルドはすんなりと通された。
 ということは、バルドが来ることを、カルドスは予測していたのだろうか。

「やあ、ローエン卿。
 |卿《けい》をこの城に迎えるのは、私の夢だったのだ。
 今日は夢がかなっためでたい日だ。
 乾杯に付き合ってもらえるだろうね」
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 カルドスは、両手を広げてバルドを歓迎した。
 部屋の中には、カルドスとバルドしかいない。
 たぶん、両側のタペストリーの奥には騎士を隠しているだろうが、いざというときに間に合う距離ではない。
 この部屋は、ずいぶん奥まった所にあり、あいだの通廊には人がいない。

 バルドは手を出さない、あるいは出せないと思っているのか。
 武器を取り上げたから安心しているのか。

 いや、どちらでもないのう、とバルドは思った。
 カルドスは、他人が信用できないのだ。
 重臣であればあるほど、信用できない。
 武や智に優れている人間ほど、信用できない。

 そういう人間に弱みをみせれば。
 重要な秘密をみせれば。

 取って代わられる。
 出し抜かれる。

 そう思うから、この場に重臣たちすら呼べないのだ。
 自分自身が、そうやって人を出し抜き、裏切り、取って代わって現在の地位をつかんだ人間であるのだから、その心配はまったく正しい。

「ずいぶんいろいろ嗅ぎ回っていたようだね」

 蒸留酒を二つの杯につぎながら、カルドスは言った。
 すべてを知っているんだよ、といわんばかりに。
 カルドスは、杯の一つを、バルドに差し出した。
 二人はともに杯を手にし、それぞれの目の高さに掲げた。

「|剣の下に《ユエ・ラ・シャンテ》」

 とカルドスが発声し、バルドは同じ言葉でこれに応じた。
 剣の下に。
 すなわち、これから話し合われることは秘密であり、約束を守れなかったときは剣をもって償う、という意味だ。
 乾杯しながらバルドを見るカルドスの目は、笑っている。

「そして、新年おめでとう」

 と、カルドスは付け加えた。
 三巡ほど前、年が明けた。
 バルドは五十九歳になった。

「まあ、座りたまえ」

 バルドが座ると、カルドスも座った。

「ちょうどよかったよ。
 何が起きたのかを、卿にもちゃんと説明しておきたかったのだ。
 五日後に領主会議が開かれることは知っているかね」

 バルドは、知らぬ、と答えた。

「領主たちには、そのとき伝えるが、卿には今言っておこう。
 わが大領主領及びその周辺地域は、正式にパルザム王国領土たることを宣言する。
 私にはその統括者にふさわしい爵位が与えられるだろう。
 おそらくは辺境伯が」

 バルドの表情は動かない。

「先だって、ジョグが失礼をしたようだね。
 あれは気の早いところがあってね。
 いささか先走ったのだ。
 テルシア家が権利を持つ街や村落を、わがコエンデラ家が勝手に奪うことなどあり得ん。
 そうではなく、これからはみなパルザム王国の領土になるのだ。
 徴税や交易は、コエンデラ家が一括して差配する。
 各領主には相応の待遇を約束するよ」

 乾杯の杯を飲み干したカルドスは、杯に酒をつぎ足した。
 鼻の下で杯をくゆらせ、芳香を、さも気持ちよさそうに吸い込んでいる。

「どうしてそんなことが可能なのか、不思議に思うかね?
 それは、パルザム王国が肩入れしてくれるからだ。
 なぜパルザム王国が私に肩入れするかは、卿に見当がつくかな。
 それはね。
 私がパルザム王の恩人であり、その息子の育ての親であるからだ。
 ……卿はつまらん男だな。
 ここは驚いてみせるところだぞ」

 バルドは無言のままカルドスを見るばかりである。
 カルドスは、ちびりと酒を飲んで、話を続けた。





 2

「すべては、三十年前。
 そうだ。
 今からちょうど三十年前の、あの夏に始まった。
 私は、アイドラ姫を妻にと望んだ。
 だが、直ちにこの城には迎えられない事情ができた。
 自分の娘を私の正妃にしたい親族がいてね。
 その親族は、私が当主になる後押しをしてくれた人物だったので、むげにはできなかった。
 あれこれ調整するあいだ、アイドラ姫には少し離れた場所にある別邸で過ごしてもらった。
 ちょうどそんな時期に、先代のガドゥーシャ辺境侯デュサン・アルケイオスが、一人の若者をよこして、しばらくかくまってほしい、と頼んできた」

 バルドは、目を少し細めて意識を集中した。

「私の母がアルケイオス家の出だということは知っていたかね。
 若者とは、ウェンデルラント王子だった。
 あのとき、十九歳だったのかな。
 王子の母上は、実家の身分は低いが、非常に美しく聡明なかたで、王に|寵愛《ちようあい》された。
 だから殺された。
 ウェンデルラント王子も、王都にいれば命はなかった。
 いや、パルザム王国のどこに行っても安全ではなかった。
 それで、こんな|辺鄙《へんぴ》な所に送られてきたわけだな。
 この城に住まわせるわけにはいかなかった。
 目立たない安全な場所というと、どう考えても、あの湖のほとりの別邸以外にない。
 だが、そこにはすでにアイドラ姫がいた。
 私は、湖の反対側にある離れにアイドラ姫を移した。
 この城に呼び寄せるまでのわずかなあいだだ。
 ウェンデルラント王子には、絶対に離れに近づかないよう頼んだ」

 何かを思い出すように、カルドスは目を閉じた。

「それが間違いだった。
 王子は線の細い学問好きの青年にみえたが、存外冒険心の旺盛なところがあった。
 訪ねてはいけないといわれた離れに忍び込んだのだ。
 そして二人は出逢ってしまった」

 カルドスは、右手の指を伸ばして額をもんだ。

「王子はたちまち熱烈な恋に落ちた。
 アイドラ姫がどうだったのかは、よく分からないが、憎からず思っていたとは思う。
 王子は私に頭を下げた。
 アイドラ姫を頂きたい、と。
 あんなに悩んだことはなかったよ。
 肉親を殺す決意をしたときよりもだ。
 だが、私は結局うなずいた。
 王子なんかどうでもよかった。
 いずれ粛清されるか、人知れず消え去ってしまう立場だ。
 そんな王子や公子は、どこの国にも山ほどいる。
 だが、これは辺境侯に貸しを作れる好機だった。
 実際、正妃に迎えるはずの姫を王子が横取りしたことは、王子自身が辺境侯に伝えてくれてね。
 それからというもの、何かにつけて辺境侯は、わが家との取引で便宜を図ってくれるようになった」

 バルドは、上を見上げた。
 城の奥まった薄暗い部屋ではあるが、明かり取りの窓は開いている。
 その明かり取りから、光の帯が差し込んでいる。

「一年と少し、蜜月は続いた。
 男の子が生まれ、王子はジュールランと命名した。
 そのころ、パルザム王国で政変があった。
 王子は千載一遇の帰国の機会を得た。
 そして、アイドラ姫とおさなごを私に託すと、陰謀渦巻く故国に旅立った」

 光の帯のなかでは、ほこりが舞っている。
 光に照らされなければ、ほこりは見えない。

「アイドラ姫は実家に送り返した。
 人のものになってしまった姫を近くに置いておくのは不愉快だったからね。
 王子は、アイドラ姫のことをまったく忘れたようにみえた。
 二十八年にわたり、ただの一度も手紙さえよこさなかったのだ。
 私がそう思ったのも、無理はなかろう?
 だが、そうではなかった。
 二年前、パルザム王国は宿敵との戦争に勝利した。
 ウェンデルラント王子は英雄となり、最大の敵であった王太子は死んだ。
 王子は、私に手紙をよこした。
 アイドラ姫と息子を迎えたい、とね」





 3

「アイドラ姫にも手紙をよこした。
 そこには熱烈な愛がつづられていた。
 いわく、私はあなたのために、知を、武を、心を磨き、徳を積んだ。
 あなたにふさわしい男になるために。
 いわく、私はあなたのために、味方を増やした。
 あなたを安全に迎えることができるように。
 いわく、私はあなたのために、手柄を立て、地位を築いた。
 あなたが夫を誇れるように。
 いわく、私はあなたのために、部下を、人民を慰撫し、常に彼らの幸せを考えた。
 あなたがそれを望むことを知っていたから」

  なぜその手紙の中身を貴様が知っているのか。

 という詰問が口から出かかったが、押しとどめた。

「手紙をよこさなかったのは、アイドラ姫の安全のためだったのだ。
 ウェンデルラント王子は、いつも見張られていた。
 その欠点や弱点を探ろうとする者たちに。
 手紙を書けば、アイドラ姫の存在が彼らに知れる。
 王家の血を継ぐ子どもの存在もね。
 知られれば、アイドラ姫は人質に取られ、子どもは殺されるだろう。
 だから、思いを必死に押し殺し、手紙は書かず、使者も送らなかったのだそうだ。
 確固たる地位と実力を築き上げ、母子を守り抜けると確信したとき、すぐさま手紙を書いたのだな。
 そして、その手紙の中で、自分がパルザム王国の王子であったと明かした。
 そのとき、私が慌てたとでも思うかね。
 いやいや。
 そんなことはありはしないよ。
 なぜなら、私は、ちゃんと王子の子どもを保護していたからね。
 ゼオンさ。
 アイドラ姫を王子に譲ったあと、私は何人か妻を迎えたが、そのうちの一人がアイドラ姫と同じころ、男の子を産んだ。
 アイドラ姫をテルシア家に帰すとき、私はゼオンとジュールランを取り替えさせた。
 万が一、王子が息子を迎えに来たときに備えてね」

 ゼオンは、カルドスの長子であり、母は正妃である。
 ゼオンは、カルドスと同じく金髪だ。
 ジュールランも輝くような明るい金の髪をしている。
 おそらく、ウェンデルラント王も金髪なのだろう。

「取り替えのことは、アイドラ姫から聞いていたかね?
 いないだろうね。
 剣の下で交わした約束なのだから。
 いかに卿がアイドラ姫のお気に入りでも、これだけは言わなかったはずだ」

 言うわけがない。
 そんな事実はないのだから。
 だが、そんな事実があったことにできるとカルドスが思っている、その根拠が問題だ。

「もっとも、その手紙が来た時点では、ウェンデルラント王子は、英雄で有力な武将ではあっても、それ以上のものではなかった。
 王太子や何人かの有力な王子は戦死したが、大国の王位継承は単純なものではない。
 初代王の血筋を引く七つの公爵家があってね。
 複雑な駆け引きの末に、各家の利害を損なわない人選が行われ、新たな王太子が生まれるはずだった。
 ところが、王が死んでしまった。
 王が死ねば、新たな王太子の指名は行えず、新たな王位継承権の付与もできない。
 その時点で王位継承権を持つ者以外は、後継者レースに参加できないのだ。
 ここで、政治には関心が低いと思われていたウェンデルラント王子が電光石火の動きに出たらしい。
 王子の|凱旋《がいせん》で王都中が、いや国中が沸き返っているときだ。
 王子は見事、次期国王の座を勝ち取った。
 さっそく、アイドラ姫に手紙が来たよ。
 あなたのために王冠をつかみました、とね」

「いや。
 嘘はよそう。
 私は衝撃を受けた。
 まさかあの王子が生き残り、ひとかどの地位を築くとは、思ってもいなかったよ。
 まして、次期王になるとはね。
 王子の子は、私自身の子として大切に保護してはいたが、肝心のアイドラ姫は実家に送り帰したままだ。
 何度か、アイドラ姫とジュールランを引き取りたいと、テルシア家に申し入れたのだがね。
 けんもほろろに断られたよ」

 バルドも、そのことは最近になって耳にしていたので、うなずいた。

「辺境侯から使者が来た。
 追って本国から使者が来る。
 アイドラ様とご子息は息災か、とね。
 私は正直に話したさ。
 アイドラ姫は実家を恋しがったので帰したが、ご子息はわが手元で手厚く養育してきた、と」

 アイドラがコエンデラ家に輿入れしながら、挙式せず、本城にも入れないまま実家に帰されたことは、辺境ではよく知られている。
 その点はごまかしようもなかったろう。

「そのとき、私はご使者に|訊《き》いた。
 アイドラ姫と私自身の息子を交換したことは、ごく一部の者しかしらない秘事。
 近年アイドラ姫は体調が思わしくなく、遠出は不可能。
 わが息子と名乗らせている者が、確かにウェンデルラント陛下のご子息である、と証明することはできませんでしょうな。
 いや、それどころか、テルシア家の者が、偽物を押し立てれば、それが偽物と判別することは難しいでしょう。
 そもそも、ご使者には、アイドラ姫が本物か偽物かも、ご判別が難しいのでは、と。
 ご使者は、わが母の血縁でな。
 こう漏らしてくれたのだよ。
 "いやいや、ご心配には及びません。
 コエンデラ卿から受けた恩を、陛下はお忘れではありません。
 あなたのお言葉を疑われることなど、ありましょうや。
 それに、二重の渦と印形により、|正《ただ》しくアイドラ様であり|御子《みこ》様であると証明できるのですから"」

 なるほど、とバルドは思った。
 カルドスがアイドラに侍女を差し向けた経緯と魂胆がはっきりした。
 おおむね予想どおりだ。

「渦だよ、渦。
 これは何のことか、さっぱり分からなかった。
 これについては、ご使者はそれ以上教えてくれなかった。
 だが、印形については、何とか聞き出すことができた。
 王子がアイドラ姫に持たせたものなのだよ。
 それは王家の者しか作ることも持つことも許されない印形なのだそうだ。
 特殊な金属で特殊な製法で作られており、偽造は不可能らしい。
 一個一個違う箇所にしるしが付けられていて、台帳に記載されてるという。
 ずいぶん探したよ。
 だが、アイドラ姫の手元にないと分かったとき、私は気付いた。
 誰がそれを預かっているのかをね。
 バルド・ローエン卿。
 卿だ。
 幼い日よりアイドラ姫が誰よりも信頼し、頼りにした卿以外に考えられない。
 わがコエンデラ家に煮え湯を飲ませ続けた卿が、今度もわが家に災いをなしたのだ!」

 突然、バルドの心に、もしやカルドスがアイドラを妃に望んだのは、バルドへの憎しみゆえではないのか、という筋の通らない臆測が浮かんだ。
 バルドの大切なものを奪い取りたいという|怨憎《おんぞう》の眼差しで、この男はアイドラ姫をみたのではないか。

「戴冠なさるや否や、新王は王国の威風を示す勅使を、各地に遣わされた。
 その中で、この地方への使者だけは、特別な任務を持っていた。
 その少し前、アイドラ姫は死んだ。
 私が遣わした侍女に手厚く看取られてね。
 むろん、そのことはウェンデルラント陛下にはお伝えしてあった。
 王は勅使殿に、わが息子を連れ帰れ、とお命じになった。
 アイドラ姫がこの世にない以上、本物のご子息であることを確認する手段は、印形しかない。
 ああ、渦巻きというのが何のことだったのか、結局卿は知らないままだろうな。
 あれはな。
 |詩《し》なのだそうだ。
 湖のほとりで、ウェンデルラント王子がアイドラ姫に贈った|恋《こい》の|詩《うた》だ。
 二つの渦巻きが一つに溶け合うように、私とあなたはこの美しい水辺で出逢った、とか何とかいう恋の詩なのだそうだ。
 その詩を知る者は、王子と姫のほかない。
 まこと姫が王子のことを慕っているならば、その詩を忘れるわけがない。
 その詩を覚えていることが、正しく王子の妻である証しになる、とこういうことだったのだ。
 そんな詩があるなど、卿は知っていたか?」

 バルドは、首を横に振った。
 そんな詩があったなど、知らない。

「けれどアイドラ姫は死んでしまったからね。
 詩を覚えていたかどうか、聞くこともできない。
 だから、印形だ。
 それが唯一の証しになるのだ。
 不思議な偶然ではないかね。
 ジョグが卿に斬りつけたその一撃が、卿自身も知らなかった印形の在りかを明らかにしたのだ。
 そして、私の部下が雇った間諜が、それを卿から取り返した。
 いやいや。
 高くついたよ。
 あの〈腐肉あさり〉めは、とんでもない金額を吹っ掛けおった。
 だが、あの印形にはそれだけの価値があった。
 五巡前、勅使殿は、この城を|訪《おどな》われた。
 そして、わしの話と印形を証左として、ゼオン・コエンデラこそジュールラン・シーガルスであり、古き王家の血を引く者であるとお認めになり、共に王都に帰って行かれた。
 まあ、いくら王の長子といっても、母の出自が辺境の名も知れぬ一族とあっては、王位継承権が与えられることはあるまいし、そう高い位に就くこともできまい。
 おそらくは、都にとどめられることはなく、辺境に帰って来るだろう。
 しかし、愛し続けた女性の息子なのだからね。
 対面して親子の絆を確かめ合えば、これからのち、ゼオンは、いやジュールランは、絶大な庇護を受けることになる。
 パルザム王の実子なのだよ」

 今やカルドスは温厚な仮面を脱ぎ捨て、猛獣のような目でバルドをにらみつけている。

「バルド・ローエン。
 卿がテルシア家を致仕して旅に出たと聞いたときには、やられた、と思ったよ。
 今までさんざんわしの進む道を邪魔してきた卿に、これからはわしの露払いをさせられると思ったのにな。
 その後、渦巻きと印形のことを聞き、卿がリンツのほうに向かっていると知ったときは、慌てたよ。
 印形を持ち、渦巻きの秘密を知った上で、パルザム王国に向かっているのかと思ったのだ。
 だが、そうではなかったのだな。
 卿は、大事なことは何も知らず、肝心のことは何も調べられなかった。
 わしは知るべきことを知り、必要な物を手に入れた。
 ローエン卿。
 わしに従え。
 さもなければテルシア家は、すべての領土を失うぞ。
 領土だけでは済まさん。
 アイドラ姫を苦しめ死に追いやった罪をもって、一族を皆殺しにしてくれる。
 わしに従え、バルド・ローエン!
 返答せよっ」





************************************************
5月19日「嘘と真実(後編)」に続く

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ないの?」

「いや、それでも勇者なんだよ。皆、内心で羨ましがってるはずだ」

「スカートめくりできるのがトメ兄はそんなに羨ましいのか」

「違う違う。その行動力を、だよ」

 そうなんだぁ。

 トメ兄にそこまで言われるなんて少し羨ましい。




 なので翌日、小学校で。

 私も勇者になってみることにした。

 でも男子にスカートはない……仕方ないね。

 すれ違いざまにそのラルフローレン
ラルフローレン衣類
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子の短パンを思いっきりずり下げてやった。

「!」「!」「!」「!」

 周囲の人がすんごくびっくりした顔で固まった。その子もパンツ丸出しで石化する。

「あ、あの。カカちゃん、なにしてるの?」

 仲のいい女子の一人が聞いてきた。私は勇者になるとか言うのが恥ずかしかったので適当なことを言ってみた。

「んと、仕返し?」

 それを聞いた周りの女子は、なんだかすごく納得した顔をした。




「……で、いままで被害を受けた子は、その子が隙を見せると短パンをずり下げるようになったって?」

「ほとんどの女子が被害にあってたからね。休憩時間であの子が短パンを下ろしてない時間のほうが短かったかも」

「……その子、学校こなくなったろ」

「うん、転校した」

「おまえが総いじめのきっかけつくってどうするよ……」

「私、勇者?」

「や、どっちかというと魔王」

「やった?」

「いくらおまえの女子仲間が魔物っぽいからってその称号で喜ぶな」 

「褒めたたえてよ!」

「よくやった。てい」

 痛っ。

「なにするの」

「褒めたたいた」


カカの天下8「文化の日に売るものは」

 今日は文化の日です。

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稀⒆预椁饯蜗伦扭蛉·耆イ盲啤⑷悚遣紘猡巳毪盲皮搿?
どうしてか、源次郎にはそんな常識があった。
もちろん、それまでの数少ない経験が作り上げた心許ないものではある。
それでも、それに頼るしかないのが実態だった。
だから、具体的なイメージが沸いてこないのだ。


源次郎は唇を外した。
兎も角、現状を何とか変えなければ???。
そう思ってのことだった。

と、不思議なことに、美由紀も素直にそれを許容してくる。
ついさっきまで、あれほどキスを求めていたのにだ。
次のステップに???と考えた源次郎の思いが分かっていたのだろうか。

源次郎は、小刻みなキスを繰り返す。
それを、唇から顎、喉、首筋、肩???と、まるで美由紀の体型をなぞるようにして降ろしていく。

「あっ、あっっ、あっっっ???。」
美由紀がそのひとつひとつに丁寧に応えてくる。
唇が触れる場所を変えるたびに、そうして応えてくる。

実は、こうしたキスの仕方は、美由紀が源次郎に教えたものだった。
そう、美由紀が源次郎に対して行ってきたものだ。
その時、美由紀アンティーク 時計
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は源次郎の上にいた。
源次郎の腹部に跨るようにして座っていた。
そして、今、源次郎がやり始めたように、唇から順にその位置をずらせながら小刻みなキスをしてきたのだった。

正直、源次郎はくすぐったかった。
唇は別にして、耳朶や首筋、そして肩口や胸にキスをされたことが無かったからだ。
まるで、意識してくすぐられているような気さえした。
それでもだ???。
そうしてそのキスが繰り返されていくうちに、それを受けている源次郎ではなく、仕掛けている美由紀の方が興奮していくのが感じられたのだ。
そう

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第二十二話 主天その二十六

「それよりもだ」
「帰るのか」
「ここでこれ以上貴様と話しても何にもならない」
 また言うのであった。
「行く。それではな」
「相変わらず素っ気無いものだな。だがいい」
 死神も彼のそうした態度をよしとした。何でもないというのである。
「それでな」
「いいのか。言いたげだったが」
「言いたいことは終わった」
 今はこう返すだけであった。
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「だからいい。これでな」
「そうか」
「しかし。一つだけ確かなことがある」
 それでも死神はまた言うのだった。
「貴様は主天使になった」
「そのことか」
「これだけ早く主天使になれた者はいない」
 このことも同時に告げるのだった。
「貴様がはじめてだ」
「そうなのか」
「そうだ。果たして最高位にまでなれるかどうか」
 そのうえでこうした話もしてみせる死神であった。
「どうなるかだが」
「その天使になったとしても闘いは続くのだな」
 牧村はサイドカーに向かいながら。また言った。miumiu 仙台
「俺は」
「その通りだ。貴様の髑髏天使としても戦いはどの階級でも続く」
 こうその牧村に告げる死神だった。
「この時代の魔物達を全て倒すまでな」
「そういうことならやらせてもらう」
 そしてそれを受け入れる牧村だった。
「そうなってもな」
「ただ。戦う相手が変わるかも知れない」
「また訳のわからないことを言うつもりか」
「貴様がわからなくても私がわかっている」
 こう言うのも変わらなかった。
「この私がな」
「貴様だけがわかっていても俺にわからなければ話す意味はないが」
「貴様の心に留まればだ」
 彼は言うのだった。
「それがやがて出て来ることになる」
「そういうものか。そして何が言いたい」
「貴様の相手が魔物ではなく私になるかも知れないということだ」
「やはり訳のわからないことを言ったな」
 今の死神の言葉を聞いた牧村の返答はこれだった。
「何を言うかと思えばだ。そもそも貴様は」
「そうだ。私は私が刈る魂を刈っているだけだ」
 己の仕事のことを語っていることになった。
「私が刈るべきその魂をな」
「俺もその中に入っているとは初耳なのだがな」
「そうなるかも知れないということだ」
 死神はまた言うのであった。
「よく覚えておくことだな」
「できるだけ覚えておいておこう」
 とはいっても身のない言葉であった。実際に牧村は今の死神の言葉を妙な言葉だと思いそのうえでただ聞いているだけであった。
「それで貴様の気が済むのならな」
「そうしてもらおう。それではだ」
 ここで話を切るのだった。そうして。
「それではだ」
「帰るのか、貴様も」
「言いたいことは全て言い終えた」
 だからだというのであった。
「では去らせてもらおう」
「ではな。もっとも貴様と闘うことになろうともだ」
「どうだというのだ。その場合は」
「俺は怯むことはない」
 声は髑髏天使としてのものであった。
「今度は俺が貴様にそれを言おう」
「それを覚えていろというのだな」
「そういうことだ。俺が言うのはそれだけだ」
「わかった」
 一言で返した死神であった。
「では覚えておこう」
「ではな。本当にこれで終わりだ」
「わかった。またな」
 そう言い合い本当に別れた両者であった。彼等は今度こそ別れた。戦いはまだ続くが不穏なものは漂い続けていたのであった。


第二十二話   完


                  2009・9・14

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第九話 氷神その六

「贈り物があるんだけれどさ」
「そうそう」
「贈り物!?」
 贈り物と聞いてその妖怪達に顔を向ける牧村だった。
「あんた達がか」
「そうだよ。はい、これ」
「よかったら食べて」
 こう言って出してきたのは羊羹だった。栗羊羹である。
「山月堂の羊羹」
「よかったら食べてよ」
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「山月堂か」
 この八条町で有名な和菓子屋である。味だけでなく店員のマナーも非常にいい和菓子の名門として知られている店である。当然彼もその名は知っている。
「そこのか」
「甘いもの好きだったよね」
「だからさ」
 妖怪達は言うのだった。
「食べてよ、よかったら」
「遠慮せずにね」
「済まないな」
 妖怪達のその気遣いに対して礼を述べる牧村だった。そのうえでその手を栗羊羹に向ける。そうして羊羹の置かれた皿にあった爪楊枝で刺し口の中に入れるのだった。
 甘いだけではなかった。静かな気品がそこにはあった。一流の腕の持ち主だけが出すことのできる、気品のある羊羹の味がそこにあるのだった。
 それを食べた彼は。羊羹を噛みつつ妖怪達に顔を向けて言った。
「美味いな」
「そうでしょ?やっぱり和菓子はここの羊羹だよ」
「ケーキもそうだしね」
「そういえばあそこはケーキもやっていたな」
 牧村もそのことを思い出した。
「確かあそこの息子さんも八条大学か」
「だから後をつけて行ってね」
「それで人間に化けて買ったんだよ」
「場所は知らなかったのか」
「今まではわしが買っておったのじゃよ」
 博士もその羊羹を一口食べつつ牧村に述べた。どうやらこの博士は酒だけではなく甘いものもいけるらしい。所謂両刀使いというやつである。
「わしがな。わしも好きでのう」
「そうだったのか」miumiu セール
「しかしじゃ。この連中はそれ以上に好きでじゃ」
「だからどうしても我慢できなくてね」
「好きな時に好きなものを好きなだけ食べたいじゃない」
 実に率直な言葉であった。
「だからだったんだ」
「買いに行ったんだよ」
「それでか」
 ここまで聞いて納得する牧村だった。
「それでこの栗羊羹をだったのか」
「その通り。やっぱり美味しいよ」
「病み付きになるね」
 見れば彼等は羊羹だけを食べているわけではなかった。他の様々な和菓子も食べている。その顔が実に楽しそうなものである。
「お菓子もいいよね」
「ケーキも好きだけれど」
「何でも食べるんだな」
 ケーキも話に出て思った言葉だった。
「本当にな」
「僕達嫌いなものないし」
「胡瓜が一番だけれど」
 今は河童の言葉である。
「だから何でもいけるよ」
「和菓子でもケーキでもね」
「ケーキか。そういえば」
 ここでふとあることを思い出した牧村だった。
「未久がスタープラチナのケーキがいいと言っていたな」
「ああ、そこのケーキもじゃよ」
 博士はスタープラチナと聞いてすぐに突っ込みを入れてきた。
「そこのケーキの仕入先は山月堂じゃよ」
「そうだったのか」
「世界は案外狭いものでな」
 また笑って牧村に話してきたのであった。
「案外近くにあったりするものなんじゃよ」
「何でもか」
「そう、何でもな」
 笑いながらページをめくっていた。

N3944O-174
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第十四話 美濃の蝮その七

「そしてじゃ」
「休むか」
「そうするとしよう。次の仕事までの間にな」
「いや、仕事は多いからのう」
 蜂須賀は笑いながらこんなことも話した。
「その分尾張は凄いことになってきておるな」
「殿が一つにされてからな」
「うむ、悪い奴はおらんようになった」
 治安を徹底させているのだ。信長は不埒者は何処までも追い徹底的に処罰しているのだ。だから治安はかなりいいのである。
「しかも田畑は開墾され町は整えられ」
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「しかも水は治められじゃな」
「よいことじゃな」
「尾張はこれからどんどんよくなっていくぞ」
「よくなるか」
「殿がいてわし等はいるのだぞ」
 だからだという木下だった。
「それでよくならない筈があるまい」
「確かに。人がえらく揃っておるのうヴィトン タイガ バッグ
 蜂須賀は木下のその言葉に頷く。これもまたよく実感できることであった。何故ならばだ。
「わしもそうだしのう」
「確かに御主もな」
「自信はあるぞ」
「ただ腕っ節が強いだけではないからな」
 木下は蜂須賀がそれだけの男ではないことを見抜いていた。それは信長とて同じだ。だからこそ今こうして織田家の家臣にいるのだ。
「忍の術も使えるし」
「うむ」
「そして水のことにも詳しい」
「川並はそれで生きておったからのう」
「おかげで政も戦もできるではないか」
 蜂須賀のそうしたことを見ての今の言葉だった。
「どちらも充分にな」
「しかし町は詳しくはないぞ」
「それはこれから学べばいい」
「これからか」
「そうじゃ。学べばそれで得られるものじゃ」
「学問は好きではないが」
「まあそう言うな」
 木下は学問と聞いて困った顔になった蜂須賀にこう述べた。そうしてそのうえで自分のことを話してみせる。これも彼の話術の一つである。
「わしはそもそも字はあまり読めん」
「そうらしいな」
「しかし話を聞くことはできる」
「それも学問のうちか」
「そういうことじゃ。御主は字を読めるな」
「うむ、読めるぞ」
 確かな声で木下に返す。
「それはな」
「では学ぶことじゃな」
「町のこともか」
「町も治めてみると楽しいものぞ」
「そういえば柴田殿や川尻殿といった武辺も町にも駆り出されておるのう」
「殿は何でもさせてくれるぞ」
 実際に信長はあらゆる政に家臣達をやっている。それは彼等に政を学ばせるという意味もあるのだ。無論彼もその中にいるのである。
 木下はそれがわかっている。それでこう話すのだった。
「だから学ぶことじゃ」
「ではそうするか」
「おそらく尾張だけではあるまいしな」
「では他に国にもか」
「今伊勢に盛んに手をやっておるな」
「実はわしも行ったことがある」
 彼は伊勢にも回されているのだ。調略もしているのだ。
「今は順調に国人達を味方につけておるぞ」
「それに北畠やそういった家にも手を回しているのだな」
「そうしておるぞ」
 まさに木下の言う通りだった。
「皆でな」
「ではわしも伊勢に回されるかのう」
「すぐにそうなるだろうな」
「おそらく次の仕事はそれじゃな」
 こう察しをつけた木下だった。

N7632B-647
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カカの天下647「トメの一人遊び2」

 こんにちは、トメです。
プラダ キャンバス
 忙しい年末を控え、会社から有給休暇を消化しろと言われました。そんなわけで平日にも関わらず休みをもらってしまったのですが……

「ひま」

 カカを学校へ送り出してからというもの、家事を終わらせてしまうとすることがありません。

プラダ カバン

プラダ ショップ
「暇をもて余した主婦か僕は」

 一人でツッコミをいれても、本当にそうなんじゃないかと思えて笑えません。ちくしょー。

「誰か他に暇な人はいないものか」

 キリヤにでもメールしてみるか。

『いま暇か?』

 ぽちっと送信。おもしろみがない? 男のメールなんてこんなもんだ。

「あれ、もう返信きた。暇なのか」

 そのメールを覗いてみると。

『いま無敵中です』

 脳裏にスターなアイテムをとって光りながら爆走するキリヤの姿が浮かんだ。帽子をかぶったアレね、異様に高くジャンプしながら亀とかなぎ倒す感じのアレね。

「気になるな……電話してみよ」

 数回コールするまでもなくキリヤが出た。

「あ、もしもし。無敵中ってどういうことだ?」

『はい、ただいま満席となっております』

 なんだこの噛み合わない会話。

「あーっと?」

『タクヤ君待ってください。A5卓様にはお子様がいらっしゃるでしょう、ならばそのオーダーを通す前に一度、お子様が食べられるのでしたらにんにくをお抜きしましょうか? と確認を取りなさい。にんにくの強い料理が二つも入っています。お子様に刺激物はよくありません』

『は、はい、わかりました! でも、キリヤさん、よくオーダーがわかりましたね、ドリンクばっかり作っててホールにもほとんど出てないのに』

『ホールにはつい先ほど一度出たのでお客様のご様子は全て覚えました。店員がオーダーを取る声はここにいても聞こえます。さ、速く動きなさい』

『は、はい!!』

『こういうわけですトメ君』

 なるほど、店が満席状態かつ自分は無敵状態というわけだ。

「忙しいときに悪いな、でも電話してて大丈夫なのか?」

『ええ、なにせ無敵なので』

『おいキリヤ!! てめぇこんなときに何して――』

『ドリンクお願いします! A1卓様にグレープフルーツジュースとオレンジジュースツー、ホットコーヒースリー。A3卓様に生ビールツー、A4卓様に瓶ビール梅酒お湯割りカシオレカシグレオールワン、B2卓様は常連のお客様なのでホットコーヒーに砂糖なしミルク三つです。B1卓様にはアイスコーヒーツーをこちらに用意してあるので、間もなく出るお料理と同時にお願いします』

『……おいキリヤ、そんな伝票ねぇぞ』

『先ほどホールを回ったときに五卓様同時に聞いたので、書く暇がありませんでした。先に作ってしまったほうがいいと判断しましたので。配膳してからすぐに書きますよ』

『……全部、暗記したのか』

『それが何か?』

『……なんでもない』

『ならば配膳してください』

『……おう』

『そういうわけですトメ君』

 なるほど、どうだ自分は無敵だろうと言いたいわけだ。

 確かにすげぇ。

「ああ、邪魔して悪かった」

『はっはっは。飲食業とはどれだけ忙しいときにもお客様からお電話をいただくもの、この程度のことで文句を言っていては自身のスキルアップなどできません』

 スキルアップ、かぁ。

「今度またラーメン食おうな」

『喜んで、では』

 うーん、普段はおちゃらけていても仕事ぶりだけは神だな。僕も見習ってスキルアップに励むか……確か料理の本あったよな。食材結構あるし、暇だし……

「でもその前に、と」

 なんだか寂しいので、もう少し誰かと時間潰したいなー、なんて。

 テンは明らかに授業中だろうし……カカたちもしかり。待てよ、いま昼どきだよな、だからキリヤもあんなに忙しかったんだろうし……でも給食中だろうな。

 あとはサラさんか。メールしてみよ、ぽちっと送信。

『やほ。いま暇?』

 なんだかナンパなメールだなぁ、なんてちょっと自己嫌悪。お、返信きた。

『いま花屋でお悔やみ中です、すいません!』

 葬式?

 花屋で? 

 つまり、姉が!?

 やったぁ!!

 じゃなくて。

「なるほど、葬式用の花の準備で忙しいってことか」

 結局はお仕事中なんだなぁ。

 じゃあ……ちょっと恥ずかしいけど、母さんはどだろ。同じようなメールをぽちっと送信。

 するとこれまたすぐに返信が。

『ただいま演技で女子高生中』

 なんと、返信が変身だった!! しかも――ええええ!?

『いやいやいやいやさすがに無茶だろう!?』

 即変身! じゃなくて返信! すると向こうからも変身! じゃなくて返信間違えすぎ!! 僕動揺しすぎ!

『ママもそう思ってね、抗議してるところだよ。なんか監督さんがどうしても着てほしいみたいでね? 絶対に売れるとかまだまだイケるとか言われてるんだけど、これ以上言ったらパパ君の手裏剣が飛んでくるからアブナイね、うふふ♪』

 や……そっちもアブナイですけど、うちの母さんが女子高生姿って、そっちこそアブナイビデオみたいになっちゃいますから。頑張れ母さん、死人を出すな?

「しかし皆、仕事忙しいんだなぁ。母さんは来年まで帰ってこれないみたいだし……僕だけ暇で、何か申し訳ないような。お?」

 メールだ、カカから? 昼休みか。

『ただいま授業中』

 別におまえには聞いてねーよ。

『うっそーん。本気にした?』

 したからどうだっていうんだよ。

『トメ兄は暇中?』

 余計なお世話だよ正解だよ。

 ……という感じの返信をしてみた。

 すると。

「電話? えと――もしもし?」

『あ、あのっ! トメさんですか!?』

「はいはいトメさんですが」

 サユカちゃんか。

『あの、寂しくて死んでしまうって本当ですかっ!?』

 僕、そんなにか弱いウサギだっけ。

『あのあの、わたし今から学校抜け出して会いにいきますから死なないでっ!』

「いあいあいあ死にません死にません。カカが何言ったか知らないけど大丈夫ですから」

『本当ですか? あの、学校終わったらすぐに駆けつけますので』

 じーん……なんか嬉しい。

「じゃ、夕飯でも食べてく?」

『いいんですかっ!?』

「うん、美味しいの作っておくよ」

『わ、ありがとうございますっ! でも、その、ご迷惑じゃ……?』

 嬉しいこと言ってくれたお礼だよ。

「全然構わないよ。楽しみにしてな」

『はいっ!!』

 ちょうどスキルアップを、と思ってたところだし。

 いっちょ、やりますか!

『あぁ、もうすぐ授業です。でも、もうちょっとお話しましょうっ』

 そんな健気なことを言ってくれるサユカちゃん。しかし、

『……これで今夜のうちの夕飯は豪華に。サエちゃん頭いー』

『ふふふー、私もご相伴に預かるのだー』

 聞こえてるぞ、サユカちゃんの後ろにいるだろう二人!

 でも人数分作るけどね。

 今日のメニューは――牛すじカレー! すじ肉は柔らかくなるまで時間かかるからな、じっくり作るにはもってこいだし、何よりカレーといえば子供の大好物の代名詞。間違いはあるまい。

 さてさて、やつらのほっぺた落とすぞー!

 ところで。

 僕って……寂しいのか、恵まれてるのか、どっちなんだろう?

 

************************************************
 あの話の続編が帰ってきた!
 そして皆、声をそろえて言うだろう。
「てめぇ恵まれすぎだ、ざけんじゃねぇ」と。

 どうも、相変わらずトメロリコン疑惑に拍車をかける話を書いてしまったルシカです。でもトメ本人はロリコンのつもりはないんです、単に寂しいだけで……他に知り合いがいないだけで……

 あと、またもや感想の返信ができない状態ですが(時間的な理由で
 絶対に返信しますので、懲りずにいろいろ書いてくださいね^^;
 トメへの脅迫も可。


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